『芝居半分、病気半分』山登敬之

斎藤環の著書でも名前をちらほら見かける山登敬之の新刊。帯には斎藤環内田春菊の推薦文が。
ユーモアあふれる文章の中に、精神科医であり劇団員でもあった著者の「演じる」ということについての興味深い考察が展開されている。
著者は「人間は本質的に演技者である」なんてことを言ってみる。モテモテの友人がどんなに甘い言葉をかけても「どうせ演技なんでしょ」と言ってふてくされる女の子を見たことがあるが、こんな風に日常において「演じる」ということはどこか否定的なニュアンスで捉えられることが多い。著者はそこで問いかける、「では、「演じる」のは、はたしていけないことなのだろうか」と。

私に言わせてもらえるなら、いいもいけないもなくて、ただうまくいってるかいないかの違いでしかない。自分のやってることがしっくりきているとき、人は自分が演じているとは感じずにすんでいて、そうでないときにだけ、演じていると感じるものなのだ。
(p3「まえがき 僕らはみんな演じてる」『芝居半分、病気半分』)

語り口が軽快でとてもリラックスして読める。こんな文章が書けるようになりたいものだなぁ。興味を持った方はどうぞ。

芝居半分、病気半分

芝居半分、病気半分