「解離的近代の二層構造」と「主体の二重性」

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上の東浩紀のエントリを読んでて、斎藤環が『文脈病』で行ってた「主体の二重化」の記述法についての議論を思い出した。
人間的原理、動物的原理が、『文脈病』の精神分析的主体(PS)、器質的主体(OS)にそれぞれ対応していると考えることができる、と気づいた。
まぁ東氏は社会全体の変化の話をしてて、斎藤氏は種とか個人レベルでの主体の話をしているので話のレベルが違うのだけれども。
けど、たしか東氏は斎藤氏に対して「僕はPSとOSについて(主体の二重化)は賛成なんですよ」と一度対談で言ってた*1から全く意識していないわけではないだろう。
厳密には違うものなんだろうけど、全然関係無くはないはず。


そういえばPICSY鈴木健が東氏の二層構造の表に対して四層構造の表にしてその独自の世界観を書き出している↓
PICSY blog: 東さんの二層構造論へ1
にしてもこの表、意図が全く読めない。増やしてどうすんだよとしか思えない(笑)少しぐらい解説してほしいかも。
池上さんと東さんの論争て何なんでしょう。知らないので気になります。コレで解決するのかなぁ。


しかし、こういう表を作ってみるのは面白そう。ということで僕も作ってみることにした。
斎藤氏のPS-OSの二重性の議論を踏まえつつ、東氏の表とついでに鈴木氏のも参考に、まず主体レベルから。二層の媒介になっていそうなもの(「貨幣」のような)も書き出してみた。

動物的原理 媒介 人間的原理
器質的主体(OS) 無意識(Es) 精神分析的主体(PS)
神経系 身体(精神分析)
機械-動物 人間
自閉症-分裂病 神経症
ロボット-BCI*2 人間
AI/IA*3
システム論 オートポイエーシス 精神分析
データベース-コンテクスト 文字・顔 シニフィアン
学習 症状
ベイトソン マトゥラーナ ラカン
記号-文脈(パース) XMLエクリチュール 言語(ラカン)
参照 解釈
反射-言及mention 使用use*4
示し 語り
可能世界 固有名 固有性
情報-強度・感覚 表象 意味


次に社会レベル。

環境管理 媒介 規律訓練
リバタリアニズム リベラリズム コミュニタリアニズム
モデル-シミュレーション ゲーム 物語
消費 流行 欲望
物々交換-創発 貨幣-構造的カップリング 資本主義-否定神学
暴力-戦争 秩序・法 平和
対幻想 ジェンダー


調子に乗って思想レベル。軸足をどっちに置いてるっぽいかで分けてみる。

動物的原理 媒介 人間的原理
創発 否定神学
デリダ ラカン
東浩紀 斎藤環
ルーマン ハーバーマス
リベラリスト宮台 あえて(宮台真司) 亜細亜主義宮台
多文化主義 アイロニー 原理主義
ドゥルーズ フーコー
フロイト ハイデガー
郵便的 脱構築 存在論
マンガ原作者 大塚英志 戦後民主主義


ライブドアレベル。

動物的原理 媒介 人間的原理
個人投資家 株式百分割/証券取引法違反?(偽計取引,風説の流布) 堀江ライブドア


注意:「動物的原理」「人間的原理」のどっちが上とか重要とかはありません。価値観抜きの概念として捉えてください。東氏も言ってるように両者は相補的であり、ともに重要です。もちろん、どっちを重視して見るかで物事の見え方が変わってきますが。

  • 参考

文脈病―ラカン・ベイトソン・マトゥラーナ

文脈病―ラカン・ベイトソン・マトゥラーナ

*1:不過視なものの世界』収録。

*2:Brain-Computer interface 要するにサイボーグ。参考:http://jiten.com/dicmi/docs/b/1387s.htm

*3:Artificial Intelligence人工知能-Intelligence Amplifier知能増幅器ised設計研第7回鈴木健の講演スライドより。

*4:言語哲学の議論。参考:http://en.wikipedia.org/wiki/Use-mention_distinction