『生物の驚異的な形』エルンスト・ヘッケル
- 作者: エルンスト・ヘッケル,小畠郁生,戸田裕之
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2009/04/14
- メディア: 単行本
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本屋で一目惚れ。一家に一冊置いとくべきレベル。
「個体発生は系統発生を繰り返す」という言葉でも有名なエルンスト・ヘッケルによる芸術的な生物画集、"Kunstformen der Natur"(英名“Art Forms of Nature”)の邦訳。
Wikipediaにも項目がある。
リンク先の画像をいくつか見てみれば、20世紀初頭の芸術や建築に多大な影響を与えた理由もわかるはず。例えばこのヘッケルが研究していた放散虫。
「生物ってこんなすげえ形してたのかよ!」って100年前の人たち、特に芸術家や建築家はこれらの絵を見て衝撃だったに違いない、「おれたち生物に負けてじゃん!」て。
今、僕らが見てもその衝撃は十分に大きいはず。
20世紀に自然科学が飛躍的に進歩したって言われている。とりわけ量子論や相対論などに代表される物理学の発展が大きかった。
けど、それで僕らは"自然"ってものについてどれだけのことを知ったっていうんだろう。
僕らの知っている自然は鳥が飛んでたり、猫が歩いてたり、アリが這っていたり、クモの巣がからまったり、雑草が勝手に生えてたり、花が咲いたり、そういう世界じゃなかったっけ。物質の根源とか時空の構造が分かっても、本当に知りたいことは全然分かってないじゃないか。
なんだかそんなことを、100ページ以上に渡る図版を眺めながら考えたりした。
20世紀が始まる直前、これらの生物の絵を描きながらヘッケルさんはどんなことを考えていたんだろうなー。
*図版はこちらのサイトでダウンロードすることもできるよ。