最近買った本 - 『サブリミナル・インパクト』下條信輔

社会現象を潜在知の観点から読み解く本。色んな話題が扱われていて面白い。

サブリミナル・インパクト―情動と潜在認知の現代 (ちくま新書)

サブリミナル・インパクト―情動と潜在認知の現代 (ちくま新書)

  • 序章 心が先か身体が先か
  • 第1章 「快」はどこから来るのか
  • 第2章 刺激の過剰
  • 第3章 消費者は自由か
  • 第4章 情動の政治
  • 第5章 創造性と「暗黙知の海」

5章の創造性についての議論が面白い。
ちょっと前に読んだマイケル・ポランニーの『暗黙知の次元』の話題も出てくる。

「我々は語ることができるより多くのことを知ることができる」

ポランニーの『暗黙知の次元』で繰り返される言葉だ。ポランニーは科学における発見がいかにしてもたらされるかを考え「暗黙知」という概念をまさに発見-創造したわけだ。

この本の最後の章で著者の下條さんはこの「暗黙知」を、フロイトの「無意識」や「前意識」の概念と結びつけて議論されている。これはある意味とても自然な考え方だが、意外とあまり見られない組み合わせだ。著者自身、独創性について考えているときに、ふと学生時代の「記憶心理学」の講義の記憶がまさに思い出されて「ああ、これが関係している」と閃いたそうだ。

著者はここで「創造性」や「独創性」はどうしたら可能になるのか、という興味深い問題を論じている。

もちろんそんな答えがすぐに分かって創造的になれるのだったら人間の世界はもっとマシにできてるのだろうが(笑)今回この本で著者はその問題を考える上でのヒントを提出している。キーワードは「周辺」。

クリエイティブになりたい人におすすめの1冊かも。


*関連―『暗黙知の次元』

暗黙知の次元 (ちくま学芸文庫)

暗黙知の次元 (ちくま学芸文庫)

難しい本に思われるかもしれないが、140ページ程度の小著ですぐに読める。今読んでも十分に刺激的です。現在の科学の方向のひとつを決定づけている1冊といっても過言ではないでしょう。現在文庫で手に入ります。