酒鬼薔薇世代の憂鬱

はてなダイアリー利用者から逮捕者が出て話題になってるようです。

 文部科学省の局長らを殺害するとインターネットのブログに書き込んだとして、警視庁は29日、東京都文京区本駒込、無職前田記宏容疑者(25)を脅迫の疑いで逮捕した。

 同庁幹部によると、前田容疑者は東大卒で、「理想を持って勉強してきたが、教科書と違う現実があることを思い知り、文科省にだまされたという感情が高まった」などと供述しているという。

例の犯行予告
文部科学省官僚への殺人予告をしているのは私です - White 〜文彩の支配から論理の支配へ〜


「25才」と聞くと「また秋葉原とか土浦の無差別殺傷事件の犯人たちと同じ『酒鬼薔薇世代』だなぁ」とか僕は思ったのだが、あまりそこらへんは言及されてないようだ。てか、世代論とか言うと後藤某みたいな人に批判されるから最近はあまり言わないのかな、笑。ちなみに僕は1984年度生まれの現在23才、彼らより2つ年下です(分け方によっては僕も酒鬼薔薇世代と言える)。

けど今回は予告で済んだにしても、こうも事件が続くとやっぱこの世代には何かあるんじゃないかなぁとか思ってしまう。


犯行予告を見ると、彼は「詐欺教育に対する天誅」を果たすことが目的だったようだ。

…要は、子どもにどうでもいいことや嘘ばかり教えたり、子どもを欺くことで子どもを操作し、最終的にはシステムに食わせようとしている狡猾な政府役人に対して、天誅を食らわせるということであり、通俗的な政治的経済的意図を持つものではありません。このような非論理的な支配体制は、結局、子どもを欺いて大人の都合の良いように操作するためのものであり、理想を真面目に信じた子どもに対する裏切りであり、醜悪極まりないものであります…

http://d.hatena.ne.jp/realiste0/20081120#p2


そういえば、酒鬼薔薇聖斗も2つ目の犯行声明で、教育への復讐を語っていた。

…やろうと思えば誰にも気づかれずにひっそりと殺人を楽しむ事もできたのである。ボクがわざわざ世間の注目を集めたのは、今までも、そしてこれからも透明な存在であり続けるボクを、せめてあなた達の空想の中でだけでも実在の人間として認めて頂きたいのである。それと同時に、透明な存在であるボクを造り出した義務教育と、義務教育を生み出した社会への復讐も忘れてはいない…

風見鶏:酒鬼薔薇聖斗事件〜犯行声明


世間の注目を集めるという点では、犯行予告を書いたid:realiste0もそういう目的があったことは間違いないだろう。

先日から2chねるに文部科学省官僚の殺害予告を書き込み、毎日新聞に記事にされたのはこの私です。

わざわざここで「毎日新聞」というマスコミ名を出さずにはいられないところにも、彼の自己顕示欲、あるいは承認欲求の強さ、渇望が窺える。

彼もまた「透明な存在」の1人、遅れてきた酒鬼薔薇聖斗なのだろうか。


酒鬼薔薇の場合、教育どころか社会からさっさと降りてしまったのだが、彼は当時の日本の教育システムにあまりに適応し過ぎたきらいがある。

当時の日本の教育システムは時代の流れに追いついておらず、親も教師も何も考えずに古い価値観(高度経済成長神話を生んだあの価値観だ)を生徒に教え込んでいた。

もちろん時代は変わっているので「そんな親や教師の言うことをまともに聞いてたらバカを見る」と言う大人はいて、子供も薄々そんなことは気づいていたので旧世代の戯言は右から左に受け流していた。

しかし、どうやら彼はその錆付いた教育を真に受けてしまった、あるいは真に受けざるを得ない環境で育ってしまったようだ。

「真に受けたおまえが悪い」と自己責任論に持っていく人もいるようだが、もちろんそれはこの場合も間違い。彼らのような人間が、日本の教育システムの移行期に生み出されたのならば、彼らをフォローするなんらかの施策があってもいいように思う。

あと親や教師世代のバカが感染しないように親も教師も、これからの世代を育てる教育の方法を考え直す必要があるだろう。


そういやこの東大卒の彼は宮台真司とかは読んでたりしたのだろうか。上に書いたのはだいたい宮台の受け売りなんだけど、彼がもし読んでたりしたらこんなバカなことはしないと思うんだけどなぁ。


ではここらへんで、もう寝る、おやすみ。