Webサービス考〜棲み分けるサブカルチャー

昨日のアクセスログ見てたら14時ぐらいから20時ぐらいまでほぼ空白状態になってたのでどういうことかと思ったら、こんなんあったのね。

ユーザー名が m-n で始まるユーザー様の日記が見れなくなります。

なんでよりによってm-n…!せっかく外出先からケータイで書いた非モテエントリーがホッテントリに食い込んでたというのに…!

ブクマしてくれたやつありがとよ!
はてな界隈では時折、「非モテ」問題がなんだか「オタク」だけの問題であるかのように語られることがあるのだけど*1、当然「サブカル」「ヤンキー」の文化圏にだって非モテ問題はもちろんあった(ある)はずで、そういうことを暗に言いたかったエントリでもありました。*2
(追記:1ヶ月ぐらい前に同じような視点から非モテを論じている方がいました→オタク論(趣味論)と非モテ論(コミュニケーション論)はもしかしたら混同しちゃいけない? - (lab.for)the days2 迷走篇(生と死と精子と)

まぁけど「はてな」自体が「オタク文化圏」のコミュニケーションツールなんで、そこらへんはしょうがないけどね、「非モテ」がオタクの問題として語られるのは。


そういえば先日こんな話があったよね。

ユーザーが参加して、積極的にコミュニティを作り、情報を発信しているグループは3つあると思う。それはmixi2ちゃんねるはてなブックマークとりあえず、この3つの動きを抑えておけば、ネットのトレンドに乗り遅れることはない。
……
世間では「2ちゃんねる」といえば、VIPPERニュー速系住人を指すことが多いように感じる。
個人的なイメージとしては奴らは「ヤンキー」。根はいいやつだけど、頭は単純で喧嘩と祭りが好き。考えるよりも行動する方が早い。他のネットユーザーに偏見を持たれているが、隠れ2ちゃんねらーも多い。
……
はてぶユーザーはとにかく真面目。実用的な記事やまじめな論評といったエントリーが好きで、ダメな事件や酷い出来事にも「これはひどい」タグで反応してしまう。クラスに居る社会経験は不足しているが、知識は豊かな「がり勉くん」のイメージ。そう考えると、「毒にも薬にもなんない意見じゃね?」といった記事が人気のエントリーになるのもちょっと納得。
……
mixiユーザーは、おしゃれさん。外見は気にするけど、中身はからっぽ。似たような仲間と群れたがる&信頼する傾向があるので、ネット上での危機意識はとても低い。目立ちたがり屋で発言したがるが、実は議論も苦手で知らない人とのコミュニケーションも下手。数はやたら多いが、何を考えているのかよくわからない(何も考えていない)。でも自分は特別な存在だと思っている。

ブクマしたときも書いたけどこれは斎藤環によるサブカルチャー分類の三領域、「ヤンキー文化」、「おたく文化」、「サブカル文化」に見事に対応している。*3

もちろん2chからは『電車男』という「オタク文化圏」に属する代物も出てるしこの見方(偏見)には色々と矛盾点は多いけど、そこらへんは多少修正すれば解決する問題だと思う。2chは「ヤンキー文化」と「オタク文化」の真ん中らへんとか。図にしてみるとこんな感じかな。下手くそですまん。

他のWebサービスとかもマッピングしたら面白いかも。*4
けどこれはかなり納得したなー。だって今までmixiでなんで「ラーメンズ」コミュニティがあんだけ盛り上がってるのかよく理解できない*5部分があったけど、mixiが「サブカル文化圏」のコミュニケーションツールだと考えるとだいぶ理解可能になる。*6


僕はこのWebサービスごとの文化の棲み分け状態が「日本の文化の発展にとって悪い!」とか大きなことを言うつもりは無いし、まぁネット上だからそういうことが起こるのはある程度はしょうがないよなー、とか思う程度なんだけど、やっぱ先入観とかでmixiやってない人*7はなんか損してるよなーと思う。先の斎藤環の連載にもこんなことが書いてあった。引用させていただきます

受け手を限定しすぎる小説(引用者注:『Deep Love』(以下『DL』)『電車男』『いま、会いにゆきます』etc)がブームとして消費されるとき、受け手集団が暗黙裡に共有していた文化的モジュールがはからずも析出してくる。こうなると、書籍化されれば誤配可能性が生ずるとの期待は甘いかもしれない。書籍化される以前の段階で、それぞれの小説が占めるべきニッチが確定されてしまうからだ。『DL』的なものに対し、拒絶芸で応ずるのではなく、いかに受容するかが検討される必要がある。さもなければ、この種の「誤受信可能性」*8 *9は、ネット上のフィルタリング機能によっていっそうモジュール化を進め、効率よく大小の文化的閉域を形成してしまうだろう。かくして想像的な「誤受信可能性」高まることは、文化間における「交配可能性」を抑圧することになる
小説トリッパー2005春号p298「オンライン小説、あるいは文化的誤受信による三幅対」破瓜病病跡システム#4(太字は引用者)

だとすると、これからのWebサービスはそうした「交配可能性」を高める機能が必要になってくるのかもしれない。あとWebサービス間にも「つながり」を作ることが必要なのかもなー。
となると昨日はてなが追加したこの機能はまさにそれかもしれない。

「閉鎖的に見えるはてな - 鍵大工学部」経由で初めて知った。このエントリー自体も興味深い。)


まぁ別に「交配」とかしなくても「文化的閉域」というタコツボの中でそれなりに幸せに生きられるとも思うけどね。けど、それってホントもったいないと思うんだよなー。世の中はけっこう面白いもんいっぱいあるのにさ、意外と。そういうのと出会ってワクワクするようなことが無くなるのはけっこう寂しいと思うぜ。余計なお世話と思うだろうけど、そんな「文化的閉域」の中にいる一人として自分への戒めとしても書き記しときます。


*関連文献

郵便的不安たち# (朝日文庫)

郵便的不安たち# (朝日文庫)

*1:例えば今だとちょうどこのエントリかな?→http://d.hatena.ne.jp/p_shirokuma/20061004/p1

*2:同じような視点から「非モテ」を語られてる方としては、本文でもリンクさせていただいたid:megaaneさんがいます。非モテをオタク、サブカル双方の視点から包括的に語られる彼の次のエントリーを読んだときには感動したものです。同じこと考えてる人がいた!と。→http://d.hatena.ne.jp/megaane/20060708

*3:小説トリッパー2005春号p282「オンライン小説、あるいは文化的誤受信による三幅対」破瓜病病跡システム#4 斎藤環

*4:まず色んな雑誌をマッピングしてみた方が面白いかもしれないなぁ

*5:いや僕もラーメンズ大好きですけど…だってもうテレビとか出ないで劇場とかでやってるのに…

*6:2chでは語られないがmixiでは語られる話題ってのは結構あると思う

*7:2chは多分ネット使う人なら見たことあるし多少やったことあるよなw

*8:「「送り手の意図いかんにかかわらず、想像的に正しい宛先に届いてしまう手紙」…ネットコミュニケーションがもたらした一つの新しい不確実性だ。「誤配可能性」にならっていえば「誤受信可能性」とでもなろうか」前掲書p298

*9:つまり「誤受信可能性」てのは簡単にいえば、出会い系サイトからメールで請求が来て、まぁもちろん相手方は架空請求として大量に匿名の相手に送りまくってるんだけど、「やばい!これは俺に来たメールだ!」と固有のメールだと思い込むやつがけっこういるって話。