資本主義はネズミ講である―『すべての経済はバブルに通じる』小幡績
リーマン・ブラザーズ破綻をきっかけに株安に円高と死亡フラグが立ちまくりらしいですが皆さんいかがお過ごしでしょうか。
正直、政治経済オンチなので「何か大変なことが起こってるらしい」ということは分かっても、具体的に何が起こっているかが分からないもので、昨日は色々とはてなーの方々の関連エントリを読んで勉強させていただきました。
と言っても昨日の時点で参考になるのはこれしかありませんでしたが。
なかなか盛り上がってきてるから、折角だからはてなのアホどもにもわかるように今の金融業会についてあれこれ書いておく。
要すれば、ソロスがいうように、『経済活動においては小さなバブルの形成と破綻は普通に繰り返されるが、今回の破綻は、戦後60年間膨れ上がって来た、「スーパーバブル」と呼ぶべき信用拡大の終焉を意味する』、ということであるが。
http://d.hatena.ne.jp/chnpk/20080915/1221470240
短いエントリながらも、金融・経済の本質から状況分析、さらには未来予測までされていて、良エントリの見本のような読み物です。はてなにはまだこんなすごいブロガーがいたのですな。*1
最近、読んでるこの本の話題ともモロに重なっていて自分の中でもタイムリーでした。
- 作者: 小幡績
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2008/08/12
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私は、先日、金融の試験問題を3つ作りました。それらは、
- お金はなぜ殖えるのだろう?
- 経済はどうやって成長し続けるのだろう?
- 資本主義とは何だろう?
というものです。1は高校生用、2は大学生用、3は大学院生用の問題です。皆さんだったら、どの問題に、どう答えますか?
こんな単純な問題から、この本は始まります。
一見、簡単そうに見えますが、例えば高校生用の1の問題にしても答えるのはなかなか難しいのではないでしょうか。考えれば考えるほど分からなくなる類の問題です。
皆さんはどう考えるでしょうか。
著者の用意した回答は次です。
実は、1から3への、私の用意した回答は3つとも同一かつシンプルなもので、
「ねずみ講」
というものです。答案にこれが書いてあれば、90点です。居酒屋談義なら100点満点でしょう。
のっけからこんな話が書かれてるもんだから久々に本を読んでて興奮してしまいましたよw
普通、ねずみ講は法律でも規制されてるし、それに類する「マルチ商法」とかも悪いイメージがあるけど、資本主義それ自体が「ねずみ講」ってどういうこと??
そう思った方はぜひこの本を読んでみてください。本編で詳しく解説されてます。
僕自身は実はそんなに疑問は持たず、冒頭部分を読んで「そのとおりっ!」「我が意を得たりっ!」てな感じでした。苫米地英人とかの本を読んで「銀行業は合法的な詐欺行為だ」(注)とかの話が刷り込まれてたからかもしれません(笑)
著者はまずバブルに対する一般の認識(「バブルの最中には、皆、熱狂してしまって、誰もバブルがバブルであることに気づかず投資してしまう」など)の誤解を解き、さらに一般に呼ばれる「バブル」とサブプライムローン問題で表面化した「リスクテイクバブル」を区別します。
詳しい説明は本書に譲るとしてかなり端折って引用すれば、
- 「バブルの生成に多少の理由は存在するが、必然的な論理はない」
- 「リスクテイクバブルには論理がある。構造的に生成される必然性がある」
著者はこのリスクテイクバブルを「バブルを越えたバブル」「旧来の20世紀までのバブルを越えた21世紀型バブル」「キャンサーキャピタリズム(癌化した資本主義)」の発現とも言います。
そして、「このキャンサーキャピタリズムは、金融市場に構造的に埋め込まれてしまっているから、これを除去することは不可能である。キャンサーキャピタリズムにおける金融資本の自己増殖願望を根絶しない限り、発症および増殖をとめることはできないのだ」とも。
このリスクテイクバブルが、コンピュータを駆使した金融工学の技術の罠。そして出資者と運用者が異なる「資本と頭脳の分離」、などなど様々な要素が絡むことで論理的に構造的に生成される必然性があることが分かりやすく具体例を挙げて説明されてます。
今回のニュースで金融経済に興味をもった方にお勧めの本です。ぜひ読んでみてください^^
関連
著者の小幡績さんのブログです。
自身が個人投資家として行動していることも主張に説得力を持たせてますね。
最近のエントリを見るに「焦点はAIG、リーマンはまだまだ第一歩」だそうです。
(注)苫米地氏のユニークな経済解説は次の本で。
- 作者: 苫米地英人
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2008/06/14
- メディア: 単行本
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「銀行業は合法的な詐欺行為」は本書から。
タイトルは明らかに勝間和代を意識してるw
内容などは下のリンクから。
- 年収が10倍アップする 超金持ち脳の作り方 苫米地英人(著)Makeup Life! メイクアップ・ライフ!
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- 作者: 苫米地英人
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