こわれたピラミッド―『権力の読みかた』

権力の読みかた―状況と理論先日、暑さにより本書の「理論編」がアツいなどとそれこそ妄言を吐いてしまった僕の『権力の読みかた―状況と理論』の読みかたですが「状況編」も後半に来るに従ってアツい!特に「ポビュリズムと国民国家」。
あと冒頭が最高。かやのんこと萱野稔人の冒頭センスには相変わらず脱帽だぜ。北田暁大に通じるユーモアを感じる。北田くんよりも一回り以上斜め上を行ってるけどねっ(そういえば北田君と岸田君はなんか似ている……メガネかけてるだけかw岸田繁ファンの方はぜひイメージ検索してみてくださいgoogle:北田暁大+メガネ)。


そしてこのトランプの積み上げを思わせる表紙も最高だ。
帯を外すと、下に行くに従って「ピラミッド構造」が崩れていく様子がわかる。


私たちは中学校の社会の公民だかで国家の3要素について覚えさせられたはずだ。


そう「主権、領土、国民」だ。


現在の国家はこのどれもが「脱構築」されてしまった。
国民主権」「象徴天皇」という装置により「主権」は幻想となり曖昧化した。
「経済のグローバル化」により国家経済は「脱領土化」した。例えばトヨタの工場は世界中にあるように。
そして最後に、ヒトとモノの移動の自由化により「国民」すらも全く曖昧となり国家は「脱国民化」してしまったのだ。


ついに残ったのは「暴力」という脱構築できぬ残余、戦争する機械としての「国家」だ。


この時代に「富の再配分」をどう適切化し、さらに人それぞれの「幸福」と東浩紀が希望を託すローティ的な「小さな共感可能性」、「感情教育」を養うために「教育」をどう変化させるか(NHK出版「幸福論」宮台真司)。


それを模索するためにも私たちはおのおのが勝手にめちゃくちゃに行動しまくってやる必要があるのだろう。
この表紙の帯の下に隠れた壊れた「ピラミッド」の土台のように。

そして、
そこから新たな秩序が生まれる可能性を信じて。


あ、東京着いた。